補聴器とは?
補聴器はとは、聴力に問題がある方(難聴の方)がより快適に音を聞き取れるように支援する医療機器です。
耳に装着することで、周囲の音や会話を増幅し、聞き取りやすくなります。軽度の難聴から高度の難聴まで、さまざまな聴力レベルの人に対応しており、日常生活や社会活動をより豊かにする役割を果たします。
また、補聴器は単に音を大きくするだけでなく、特定の音域を強調したり、雑音を抑えたりする高度な技術が搭載されています。これにより、騒がしい環境でも会話を聞き取りやすくしたり、特定の音(例えば電話の音声やテレビの音)に焦点を当てたりすることが可能です。

補聴器の仕組み
補聴器の構成
補聴器は以下の3つの主要な部品で構成されています:
- マイク:周囲の音を拾い、電気信号に変換します。
- アンプ(増幅器):拾った音を増幅し、ユーザーの聴力に合わせて調整します。
- スピーカー(レシーバー):増幅された音を耳に届けます。

デジタル補聴器
現在主流のデジタル補聴器では、さらに高度に音の処理を行うチップが搭載されており、さまざまな優れた機能が付加されています。
- ノイズキャンセリング:背景の雑音を抑え、会話を強調。
- 指向性マイク:特定の方向(例えば正面)の音を優先的に拾う。
- ワイヤレス接続:スマートフォンやテレビと接続し、音声を直接補聴器に送信。
- 自動調整機能:環境に応じて音量や音質を自動で最適化。

最新技術
さらに最近では、AIを始め、さらに技術を施された補聴器も登場しています。
- AI(人工知能)搭載:装用者の聴覚環境や好みを学習し、その人の最適な音を自動で調整。
- スマートフォン連携:Bluetoothで補聴器をスマートホンをペアリングし、スマホアプリを使って補聴器の音量や設定を細かく調整が可能。また、通話や音楽の音を補聴器で聞くことも可能。
- 充電式モデル:従来の電池交換式に加え、充電式のモデルが登場、電池交換の手間が無くなります。
- 健康管理機能:歩数計や心拍数のモニタリング機能を備えたモデルも登場。

補聴器の種類
補聴器には、形状や装着方法、機能の違いによりいくつかの種類があります。
主な形状は「耳かけ形」「耳あな型」「ポケット型」に分けられます。
当店で取り扱っている補聴器のタイプを以下紹介します。
補聴器の形状
耳かけ型(RIC)
小型の耳かけタイプです。
本体を耳の後ろにかけ、細いチューブから延びる先端のレシーバー部を耳の中に装着します。本体が耳の後ろに隠れてほとんど目立ちません。
耳栓の種類やレシーバーの種類で、幅広い調整が可能です。

耳かけ型(BTE)
RICタイプと同じく本体を耳の後ろにかけます。本体にレシーバーが内蔵されており、音はチューブから耳栓までの空洞を通って耳に伝わります。
パワーがあり、軽度~重度難聴まで幅広い聴力に対応可能です。また、やや大きめのため操作が容易です。使用電池のサイズ大きく電池寿命が長めです。

耳あな型
本体を直接耳あなに装着するタイプ。
耳あなの形状を採取し、オーダーメイドで制作します。耳にかける部分がないため、メガネやマスクの脱着時に補聴器の落下の心配が少ないというメリットがあります。
パワーによって本体の大きさが異なり、最小型は耳あなからほとんど目立たないほど小型です。

補聴器の選び方
補聴器を選ぶ際は、以下のポイントを考慮することが重要です
聴力の状態
ご自身がどの程度の聞こえなのかを把握することが大事です。
生活環境
普段どのような環境で生活しているのかも重要な情報です。
静かな場所での使用が多いのか、騒がしい場所での使用が多いのかを考慮します。
デザインと快適さ
長時間装着しても快適か、見た目が気になるかなど、装用した状態を把握します。
耳かけ型は耳の外に出ますが、RICタイプは小型で耳の後ろに隠れて目立ちません。
耳あな型は耳の中に入って目立ちませんが、耳あなから見えて目立つこともあります。
性能
補聴器にはさまざまな機能があり、上位クラスほど優れた機能が搭載されています。
そういった機能が必要かどうか、などを考慮します。
例えば、ご自宅だけで使用する方と、仕事でアクティブに使用する方では、環境が大きく異なります。
環境に合わせた性能を持った補聴器の選択も大事です。
ご予算
補聴器の価格は数万円から数十万円まで幅広く、機能や性能によって異なります。
使用環境によって性能がしっかり発揮できるかどうか、どの程度の性能を求めるかを考慮します。
補聴器のメリットと注意点
補聴器をつけることでどのようなメリットがあるのか、また補聴器をつけることの注意点などをまとめます。
メリット
コミュニケーションの向上
家族や友人との会話がスムーズになり、周りとのコミュニケーションを快適にします。孤立感の軽減などにもつながります。
生活の質の向上
趣味や社会活動への参加がしやすくなります。
認知機能の維持
難聴は認知症のリスクを高めると言われており、補聴器の使用でそのリスクを軽減できる可能性があります。
注意点
慣れるまでの時間
補聴器は装着当初、音の感じ方が異なるため慣れるまで数週間~数か月かかることがあります。ゆっくり時間をかけて慣らすことが大事です。
メンテナンス
使用すると汗や耳あかなどで汚れが蓄積していきます。放置すると音が聞こえづらくなったり、音が出なくなったりなど、故障につながることがあります。定期的なクリーニング、メンテナンスが大事です。
限界
補聴器は聴力を完全に回復させるものではなく、あくまで補助的な役割であることに注意が必要です。
補聴器の禁忌8項目について
補聴器は補聴器販売店協会より定められた「補聴器禁忌8項目」というものがあります。
補聴器は一般的な電化製品とは異なり、管理医療機器に分類されます。
以下項目で当てはまるものがある場合、耳鼻科の受診をお勧めいたします。
補聴器禁忌8項目
- 耳の手術を受けたことがある。
- 最近 3 ヶ月以内に耳漏があった。
- 最近 2 ヶ月以内に聴力が低下した。
- 最近 1 ヶ月以内に急に耳鳴りが大きくなった。
- 外耳道に痛みまたは、かゆみがある。
- 耳あかが多くたまっている。
- 聴力測定の結果、平均聴力の左右差が 25dB 以上ある。
- 聴力測定の結果、500、1,000、2,000Hz の聴力に 20dB 以上の気骨導差がある。
その他確認事項
- 補聴器の公的支援や助成制度について説明を希望される方はお申し出ください。
- 販売店では、医療機関で行うような診察や検査および診断は行えません。
- 販売店では、補聴器適合のために観察や測定を行います。
- 心臓の病気・脳梗塞・血栓症などの治療で薬を内服している場合は、出血し易くなっていないか、耳の奥の皮膚をこすっても心配ないか医師に相談してください。
- 販売店では、耳鳴りの診断や治療はできません。補聴器相談医の指示がなければ耳鳴りの治療を目的とした補聴器の販売はいたしません。
- 販売店では、認知症の診断や治療はできません。認知症の予防、治療を目的とした補聴器の販売はできません。
- 販売店では、耳の手術を受けたことがある方の耳型採型はできません。